私たちは、
「感情は出すものだ」
「素直になるべきだ」と教わることがあります。
しかし、もし怒りや恨みといった感情が湧き上がってきた時、
それをそのまま出すことが、
本当に自分や周りの人にとって最善なのでしょうか?
「その感情をそのまま出さないのは、
結局、自分を否定していることになるのでは?」
そう感じるかもしれません。
でも、実はそうではありません。
これは、「感情を一時的に受け止め、その上でどう扱うかを選ぶ」という、
まったく異なる、そしてはるかに建設的なアプローチなのです。
感情は「情報」:まずは受け止める
私たちは、感情を無理に否定したり、心の奥に押し込めたりしがちです。
しかし、それは決して健全なことではありません。
なぜなら、感情は私たちにとって非常に重要な「情報」だからです。
怒りを感じるなら、
それは「自分の価値観が侵害された」というサインかもしれません。
悲しみは
「大切なものを失った」というサイン。
不安は「何かに対処する必要がある」というサイン。
喜びも、不安も、怒りも、
すべて人間としてごく自然な感覚です。
これらを否定したり、
押し込めたりすることは、
自分自身の健全な一部を否定することになります。
だからこそ、
まずは「ああ、今、私はあの時の怒りを感じているな」
「こんなにも悲しい気持ちがあるんだな」と、
その感情があることを受け止め(認め、それでいいと受け入れる)し、
自分自身と切り離して認識します。(客観的に見る)
無理に消そうとせず、ただ「そこにある」と受け止める。
これが最初のステップです。
感情に「支配させない」という賢い選択
感情を受け止めた上で、
次のステップは、「その感情に支配させない」と決めることです。
- 例えば、「あの人への怒りを感じているけど、その怒りに突き動かされて相手を攻撃する行動はしない」。
- 「あの時の悔しさが今も残っているけど、その悔しさのせいで新しい挑戦を諦めることはしない」。
これは、感情を「我慢」して抑え込むこととは違います。
一度受け止めた上で、
その感情を出すかどうかを自分の【理性】で管理するのです。
※この感覚がすごく大事!!!
なぜこのような選択をするのでしょうか?
それは、私たちの最終的な目的が「幸せになること」だからです。
感情は私たちに情報を提供しますが、
その情報に基づいて衝動的に行動することは、
必ずしも建設的ではありません。
怒りに任せて相手を攻撃したり、
悲しみに打ちひしがれて行動を止めてしまったりすることは、
問題解決には繋がりません。
つまり、最終的な目的である幸せにつながるとは限らないと言うことです。
感情に支配されると、
客観的な判断力や理性的な思考が失われ、
後悔する行動をとってしまう可能性があるからです。
感情の「管理」がもたらす、真の自信と成長
感情に振り回されず、
理性的に対処できるようになると、
私たちは「自分は感情にコントロールされる人間ではない」という感覚を育むことができます。
これは、自分自身の精神的な強さや回復力への信頼を高め、
自己肯定感の向上、そして真の自信へと繋がります。
衝動的に感情に支配されることは、
短期的な満足や解放感をもたらすかもしれませんが、
長期的には後悔や問題を引き起こすことが多いです。
「支配させない」という選択は、
その場の感情に流されることなく、
かつ一度感情を受け止めているので自己否定でもなく、
より良い未来、健全な人間関係、
そして自分自身の成長といった長期的な幸福を優先するためのものです。
これは、自分を大切にする行為であり、
決して自己否定ではありません。
感情を上手に管理する力こそが、私たちが幸せな人生を築いていくための、重要なスキルなのです。