「自分を大切にしたいから、我慢せずに言いたいことを言おう!」
過去の私もそう思っていました。
言いたいことを言うのは、ある意味スッキリするかもしれません。
しかし、多くの場合、それは長続きしません。
なぜなら、結果的に人間関係が悪化し、
最終的に自分が傷ついてしまうからです。
「私が悪かったのかな…」と自分を責めたり、
「やっぱり自分の思っていることははっきり言っちゃいけないんだ」と、
また言わない自分に戻ってしまう。これでは、堂々巡りです。
「言えばいい」ってもんじゃない。大切なのは「言い方」
もちろん、自分の気持ちを言うことは大切です。
しかし、「言えばいい」というものではありません。
腹が立つからとケンカ腰で相手を責め立てたり、
「お前のことは嫌いだ!」と感情的にぶつけても、
良い結果は生まれません。
短期的にはスッとするかもしれませんが、
長期的には人間関係が壊れ、自分が不幸になるだけです。
かといって、「やっぱり自分の本当の気持ちは言わない方がいいんだ…」と
我慢ばかりしていると、
今度は心が押しつぶされそうになります。
良い時はまだしも、悪い時は感情の波に翻弄され、自分が安定しない。
まるで、自分の中に軸がないように感じてしまうのです。
自分も相手も大切にするという視点
私たちは自分の感情を大切にしていいし、
言う権利もあります。
しかし、それと同じように、相手もまた大切な存在です。
自分も大切な人間であるように、
相手もまた大切な人間なのです。
「人」という視点で見れば、
どちらが上とか下とか、
価値があるとかないとか、そんな区別はありません。
では、どうすれば自分の気持ちを大切にしながら、
相手も大切にできるのでしょうか?
最初のステップは「自分の感情を徹底的に受け止める」こと
大切なのは、まず自分の感情を自分でしっかりと受け止めることです。
「そう思ったんだね、わかるよ」
「そうだよね、むかつくよね」
「そりゃ腹立つよな。なんで相手は分かってくれないんだ!」
どんな感情でも構いません。
頭ごなしに否定したり、
見て見ぬふりをしたりするのではなく、
「そう感じたんだ」という事実を認めてあげる。
これが、自分を大切にするということの第一歩です。
これが欠けていると、
私たちはただの自己否定に陥ってしまいます。
「そんなこと言っちゃいけないからやめよう」
「腹立つけど、言ったら相手が怒るだろうな…気まずくなるのは嫌だから、言わないでおこう」と、
自分の感情をないものとして抑えつけてしまう。
これでは、心の奥底で不満が募り、
いつか爆発してしまう可能性があります。
最終的な目的を意識する:幸せな自分になるために
自分の感情をしっかりと受け止めた上で、
次に立ち止まって考えてほしいのが、「自分の生きる目的」です。
「何のために生きているのか?」
「自分にとっての幸せとは何だろう?」
その場の感情に流されて相手にぶつけてスッキリするかもしれませんが、
その結果、人間関係が悪化し、最終的に自分が幸せになれないとしたら、
それは本当に望む結果でしょうか?
想像してみてください。
あなたは、些細なことで周りの人といつもいがみ合っている毎日を送りたいですか?
きっとそうではないはずです。
私たちは、できることなら穏やかで良好な人間関係の中で、
幸せを感じて生きたいと願っているのではないでしょうか。
自分の感情は大切。イライラするし、腹が立つ。
一言言ってやりたい気持ちも痛いほどよくわかる。
でも、最終的な目的は「自分が幸せになること」ですよね?
だとしたら、その目的を達成するために、どのような伝え方を選択するのが賢明でしょうか?
相手も尊重するからこそ、より良い伝え方を選ぶ
相手もまた、あなたと同じように感情を持つ、尊ばれるべき人間です。
だからこそ、自分の気持ちを伝える際には、
相手の気持ちに配慮することが大切になります。
もちろん、「言わない」という選択肢も当然あります。
しかし、最初に自分の感情をしっかりと肯定していれば、
「言わなかったからといって自分を否定している」ということにはなりません。
あくまで、自分の感情を十分に肯定した上で、
「自分の目的(幸せ)のために、今回はこの行動、発言を選択した」という
主体的な意識を持つことが重要なのです。
この「自分で自分の人生を選んでいる」という感覚こそが、
自信に繋がります。
そして、もし「言う」という選択をするのであれば、
相手の気持ちに配慮した言い方を心がける。
そうすることで、言うべきことは言えているのに、
人間関係をこじらせることなく、
自分も大切にしながら相手も大切にすることができるのです。
自分の感情を大切にすることと、相手を大切にすること。
この二つは決して矛盾するものではありません。
両方を大切にするからこそ、
私たちはより豊かな人間関係を築き、本当に幸せな自分になることができるのです。


