誰もが知っているアニメ「アンパンマン」。
正義のヒーロー・アンパンマンと、
いたずら好きのバイキンマンの戦いは、
子供たちの心を掴んで離しません。
しかし、大人になった今、改めてバイキンマンの行動を考えると、
一つの問いが浮かんできます。
なぜ、バイキンマンはいつも誰かのものを奪おうとし、
アンパンマンに敵対するのでしょうか?
今回のブログでは、アンパンマンとバイキンマンの生き様を通して、
私たちが生きていく上で最も大切な要素の一つである
「支え合い」について深く掘り下げていきたいと思います。
いつもお腹を空かせているバイキンマン、支え合うことを知らない生き方
バイキンマンや、彼の仲間であるドキンちゃんが
いつもお腹を空かせているのはなぜでしょうか?
結論から言えば、
それは彼らが誰かと支え合って生きていないからです。
彼らの行動原理は常に「奪う」こと。
うなどんまんのうな丼を奪おうとし、
パスタおばさんがいれば、変装してそのパスタを奪おうとします。
彼らは、自分がお腹を空かせているから、
美味しいものを食べたいからという、自分の欲求のみに基づいて行動しており、
他者との協力や分かち合いという概念が欠如しているのです。
考えてみれば、私たちは完璧な存在ではありません。
得意なこともあれば、苦手なこともあります。
うな丼をつくるうなどんまんは
野菜を育てることはできないかもしれませんし、
その鰻となる魚を自分で捕ってくるわけではないでしょう。
パスタおばさんも
パスタをつくるのは上手でも
原材料の小麦粉を生産していないと思います。
現実の世界も同じです。
車を作る人がいても、
その人が普段食べるご飯は別の人が作っているかもしれません。
あるいは、その材料をさらに違う人が育てているかもしれません。
私たちの社会は、
あらゆる人がそれぞれの得意なことを活かし、支え合うことで成り立っています。
支えられるだけ(ここでいうと奪うだけ)だとこの原則から外れているので、
当然、貧しくなる(ここでいうとお腹を空かせる)のです。
※ここに自覚がないということです。
支えられるのが当たり前になっていることに気付いていない。
しかし、バイキンマンにはその視点がありません。
自分がこうだからこうしろと、自分の欲求を相手に押し付けるばかり。
だから、誰ともうまくいかないのです。
弱さを受け入れる強さ、アンパンマンの生き方
一方、アンパンマンはどうでしょうか。
彼は力強く、困っている人を助けるのが使命です。
しかし、彼の顔が汚れてしまうと、
途端に力がなくなってしまいます。
そんな時、ジャムおじさんやバタコさん、
そして街の仲間たちが彼を守り、新しい顔を焼いてくれます。
アンパンマンは、誰かを助けているように見えて、
実は誰かに助けられているのです。
顔が汚れてしまうという彼の弱さは、
彼が誰かに支えられる存在であることを示しており、
それを受け入れていることこそが彼の強さなのです。
自分の弱いところも、強いところも全てを受け入れ、
それでも自分の使命のために、みんなのために戦う。
アンパンマンは、一方的に弱い人を支えているのではなく、
自分が弱くなった時には支えられている。まさに支え合いの中で生きているのです。
バイキンマンの心の叫び、気づけない弱さ
では、バイキンマンはなぜアンパンマンのように
「支え合う」ことができないのでしょうか?
それは、彼が自分の弱さに気づけていない、
あるいは受け入れられていないからかもしれません。
※アニメを見ていると彼は薄々気付いていますよね。
でも、それは自分じゃない!って本当の自分を見ないようにしている。
本当はアンパンマンのようにみんなと仲良くしたい、
自分の正直な気持ちを誰かに聞いてほしい。
そんな本来持っている気持ちをさらけ出すことができずに、
それが歪んだ形で、誰かのお弁当を奪ったり、
邪魔をしたりといった攻撃的な行動に転嫁されてしまっているのではないでしょうか。
もしかしたら、バイキンマン自身も
「本当はこんなことを望んでいない」という気持ちを抱えながら、
過去の自分のイメージや、周りの目を気にして、素直になれないのかもしれません。
急にアンパンマンに、
「僕と友達になってよなんて言っても、誰も聞いてくれないだろうな…」という恐れがあるのかもしれません。
※そもそも、お腹空いているなら
アンパンマンにアンパンくださいって言えばいいのに、
そのシーンは絶対出てきませんよね。
バイキンマンの行動は、私たち人間が誰しも抱える可能性のある弱さを、
極端に、そして分かりやすく表現していると言えるでしょう。
完璧ではない自分を受け入れ、自分の弱さを認め、
そして誰かに支えてもらう勇気。
それこそが、私たちが生きていく上で大切な一歩なのかもしれません。
「愛と勇気」の真髄、それは支え合う心
自分の弱さを受け入れる「勇気」
自分は弱い存在で完璧ではなく、支えてもらうことがあるからこそ
自分の得意なことを生かして、誰かを支えようという「愛」
これがアンパンマンが教えてくれる
「愛と勇気」なのではないかと思います。
アンパンマンが正義で
ばいきんまんが悪なのではなく、
誰にもあるものを
二人の対照的なキャラクターを通して
わかりやすく描いてくれているだけなのかもしれません。
ばいきんまんの姿は、
私たち自身の心の奥底に潜む、認めがたい弱さや葛藤を映し出しているのかもしれません。
ばいきんまんのように
弱い自分から逃げるのではなく
アンパンマンのように
弱い自分を受け入れて
その分、自分が何かできることでお返しようと生きたとき
きっと、そこにはこれまでとは違う、
温かい世界が広がっていくはずです。

