クライアントさんに寄り添う
介護や障害福祉、医療の現場で寄り添う。
この寄り添うとは、いったいどのようなことをしたら、寄り添うことになるのでしょう。
それは、一言でいうと、
相手のペースを尊重することじゃないかなと思います。
私たちが提供するアプローチは、
相手が自ら答えを見つけ、気づきを得るための「問いかけ」です。
決して「これが正解だ」と教えてしまうことではありません。
時に相手が抵抗を示したり、
教えない事で、なかなか気づきに至らないように
見えたりすることもあるでしょう。
教えた方が早いのではないかと迷いそうになることもあるかと思います。
しかし、そんな時こそ焦らず、
相手のペースを尊重することが非常に重要だと感じています。
「答えを教えたい」衝動と、その先に
正直なところ、
「この人は、今は気付けないし、時間がかかるよな・・・」と思うと
つい自分の経験からくる意見を言いたくなる時があります。
自分が苦労して、遠回りをしてやっとたどり着いた答えだからこそ、
「そんな苦労しなくても、すぐに分かった方がいいのに」という気持ちも生まれます。
だからこそ、
その場で一気に解決してしまおうと、
つい答えを教えたくなってしまうんですよね。
でも、そこで答えを教えてしまうと、
相手は「ああ、それが答えなんだ」と、
そこで思考を止めてしまいます。
それでは、その人自身が深く考え、悩み、
そして「自分なりの答え」にたどり着く貴重な経験を奪ってしまうことになりかねません。
私自身も、多くの経験と苦労を経て導かれてきたからこそ、
その過程の大切さを痛感しています。
根気強く、温かいまなざしで
だからこそ、私たちは一歩引いて見守る姿勢が必要です。
例えば、10回伝えても、
100回伝えても、
なかなか気づかないように見えることもあるかもしれません。
「何回言っても気づかないなぁ」と
感じることもあるでしょう。
しかし、そこで諦めてはいけません。
彼は彼のペースで、彼女は彼女のペースで、
いつか必ず気づけばいいんだと信じること。
これこそが「寄り添う」ということなのだと思います。
支援する側は、
相手の可能性を閉ざしてはいけないのです。
時間はかかるかもしれません。
時には「言っちゃった方が早い」と感じる場面も確かにあるでしょう。
しかし、そこでいかに我慢し、こらえて、
相手が自分でその答えを見出すことができるか。
これこそが、私たちが本当に「寄り添う」という行為なのではないでしょうか。
私たちは、根気強く、そして温かいまなざしで、
相手が自分の人生を主体的に生きるきっかけとなるその日まで、
寄り添い続けること。それが、真の支援だと信じています。

