潜在意識を書き換える、手放すとは?
認知の歪み・・・癒す・・・抑圧・・・
自己啓発、スピリチュアル、カウンセリングでよく聞く用語を
具体例を入れてわかりやすく解説します。
はじめに:人は“学習した通り”に生きている
人間は、一度身につけた学習によって、
自分の考え方や感じ方、行動パターンが形作られます。
※この学習は、当然ですが、人それぞれちがいます。
これは、本人にとって良いか悪いかは関係なく、
脳に刻まれ、日常の判断や対人関係に影響し続けます。
※私たちは脳を通して、世界を見ているので、脳がおかしな学習をすれば(バクれば)
世界は悲劇的なものになります。
特に幼少期
親との関係や家庭環境で繰り返し体験したことは、
「世界はこういうもの」「人はこういうもの」「私はこうしなければならない」という
“生きるためのルール”として脳に定着します。
幼少期にいい学習ができれば、世界は素敵なものになりますし
悪い学習をしてしまえば、世界は怖いもの、辛いものになってしまいます。
すべては学習次第であり、すべては脳次第。
でも、ここに自覚はなく、無自覚で私たちは生きています。
いわば、それは“スマホに初期搭載されたアプリ”のようなもの。
無意識に動き続けます。
※これが三つ子の魂百までと言われる所以です。
人間は意識5%、無意識(潜在意識)95%で
生きていますから、
悪い学習をしてしまえば、いくら「ツイてるツイてる」なんて言っても(5%の意識で)
95%の無意識(潜在意識)は「ツイてない」と思っているので、
ツイてない人生になります。
なぜなら、95%に自覚はないからです。
生きている時間の95%
24時間のうち23時間はツイてない人生を
自分の脳によって見せられている。
これが現実です。
だから、潜在意識を書き換えましょう!手放しましょう!という話がでてくるわけです。
ところが、そのときに、当時の自分を「うん、わかるよ」と共感するだけでは
潜在意識が書き換わるわけではないですし、
「じゃあ、それを手放します!」と言ったところで、
現実問題、手放せるものではないし、
そもそも手放すって、どういう状態になったら手放したことになるのかとか、
どうしたら手放せるのか?でみんなつまづくんです。私もそうでした。
「親に逆らう気かい!?」の学習と、“いい子”の誕生
私の場合を例にして、順番にお話していきます。
私は、母親が幼少時代とても厳しい人でした。
実際はどうかはおいておいて、私の感覚としては
常に怒られているような感覚で、
母親に怒られないようにしたいというのが
私の願いでした。
また、叱られたときに
私が従わないと「親の言うことを聞きなさい」とか
「親に逆らうのかい、お母さん泣いちゃうよ、親不孝だよ。」と
よく言われていたので、
自分の意見を言うことは
母親を傷つけることであり、
自分の意見は殺さなければいけない。
また、それは同時に、母親に怒られない手段です。
さきほども申し上げましたが、
私の幼少期の願いは「母親に怒られないこと」ですから
自分の意見は言わないで、押し殺し(これが抑圧)
親に従うこと、いい子でいることが
自分にとって幸せなんだという学習(思い込み、刷り込み)をしたのだと思います。
ここは子供なので、当然、自覚はありません。
- 本当は言いたいことがあった。でも怒られるから言えなかった。→ 「言わない=安全」
- 良い子でいることで、自分を守った → 「本音を隠す=愛される手段」
自分の身を自分で守るために
幼い自分が身に付けた、学習したこと
「自分の意見は言ってはいけない」
「嫌なことがあっても我慢しなければならない」
脳はこの学習したことで
現実世界をみていきます。
つまり、母親だけでなく
幼稚園に行ったら、友達に自分の意見が言えない。
小学校、中学校に行っても自分の意見が言えない。怖くて。
社会人になっても、自分の意見が言えない。自分を守るために。
小さい時のことだから・・・と
自分は意識的に思っているかもしれませんが
脳は一度学習したことに基づいて動いていますから
どこまでいっても
いくつになっても
「自分の意見は言ってはいけない」
「嫌なことがあっても我慢しなければならない」
という学習のもとに脳は動きます。
脳がそう動くということは
現実がそうなるということです。
だって、私たちの人生は
95%は無自覚だからです。
だから、私たちは頑張っても現実を変えられないし
勉強しようが、意識しようが、変えられない。
それどころか、どんどん悪くなっていく一方なんです。
だって、95%の潜在意識は
「自分の意見は言ってはいけない」
「嫌なことがあっても我慢しなければならない」
なので、
自分のみる現実は
自分の意見を押し殺して生きるわけですから。
だから、当然「自分なんて」という感じになって
自己肯定感とかすらなく
ひたすら、自己否定に走るから
結果、「やっぱり、どんなに頑張っても意味ないんだ」となることが
たくさん起こってしまうんです。
自分の今見ている
不幸な世界は
脳にそう見せられているから
そう見えるんだ。
ここはめちゃくちゃ大事な部分です。
※だから、潜在意識を書き換えることが大事となります。
ということは逆に言えば
自分は悪くないし
どうしようもなかった部分を
なんとかしようと、私たちはもがいてきた。
私たちはむしろ、よく頑張ってきたんです。
プールの流れに
逆らいながら、なんとか前へ進もうとして生きてきたけど
体力が尽きて流されて生きている
そんな感じです。
自分の人生を変えようと
もがいた日々も
それでも変わっていかない現実に
無力感、絶望を感じ
何度、挫折を繰り返してきたか。
でも、これを読んでくださっているということは
それでも、自分に諦めていない。
自分をあきらめたくない。
必ず・・・
絶対・・・
変えられる
そう信じているからですよね。
学習の強化:泣くことすら封じられていった
私は、幼少期
泣き虫でした。
これは意識的に泣いていたという感覚があります。
何か自分に不都合なことがあれば、
周りの大人たちがとんできて
「大丈夫?」と気に掛けて、問題を解決してくれるからです。
これも学習ですね。
だって、そうですよね。
自分の意見を言うことは封じられているので、言えないわけです。
でも、自分では嫌なことが起こる
どうしようもないから泣く
ところが、泣くことも
あまり使いすぎると
母親が面倒くさがったり、泣くことに怒ってくるようになります。
すると脳は
「泣くことは悪いこと」と
学習するようになります。
※お母さんに怒られない事が願いなので。
こうして、
「自分の感情は出してはいけない。」となり
次第に無表情で、内気な子になっていくわけです。
- 幼少期、泣けば誰かが助けてくれた → 自然な自己防衛
- しかし、母に泣くと「うるさい」「面倒くさい」と怒られる → 泣く=ダメなこと
これ、子どものうちは
「泣く」という手段が使えるのでいいですが
大人になると、特に男性は「男は泣くもんじゃない」みたいなことを教育されたりしますから
泣くことすらできなくなる。
本当は泣きたいくらい辛いのに
「泣くこと=ダメなこと」
「男は泣くもんじゃない」と
脳が学習しているので、
結果、自分の感情を押し殺す(抑圧する)しかなくなります。
私の感覚では
これが続いたせいで、当時の私はそもそも自分は何を感じ、
どうしたいのかがわからなくなっています。
自分の価値観や意見がない。そんな感じです。
自分がわからなくなっていることにすら気付いていない。
それが普通すぎて
自分が問題視しなくなるんですよね。
結果、
感じなくすらなる。
この感覚で小学校、中学校と
学生時代を過ごすと
友達は当然できず
他者とのかかわりが極端に少ない状態で生きていくので
人間関係を学ばず、社会人になります。
そして、社会人になると、
強制的に他者とコミュニケーションをとらなければいけない環境に置かれます。
そこではじめて、「あれ?自分、なんかズレてるぞ」ということに気が付きます。
これって私の感覚では
小学生の自分が大人たちと対等に話をしなければいけない
しかも、そこに一切の配慮がないくらい絶望的な差です。
見た目は大人ですし、
年齢も大人なので
当然、相手も大人として関わってくる
※当然なのですが(笑)
でも、自分の社会性は
小学生レベルのものしかない
でも、自分はなぜ自分がそうなのかがわからないから
ここで慌てて自己啓発とか、コミュニケーションの取り方みたいな本を読み始めて
それでも、改善しない
そんな現実が繰り広げていくわけです。
現実世界、他者と比較して
人間関係がうまくいかないので
また脳は、「自分は人間関係がうまくできない」「自分は仕事ができない。」「自分は他者から愛されない。」と学習してしまいます。
脳は学習した通りに動くので
人生の95%は
「自分は人間関係がうまくできない」「自分は仕事ができない。」「自分は他者から愛されない。」人生になるということです。
そして、現実(正確には自分が脳に見せられている世界)の95%がそうなるわけですから、
「自分は人間関係がうまくできない」「自分は仕事ができない。」「自分は他者から愛されない。」
と5%の意識も思いこむようになって
※そう思う根拠もたくさんあるので。
さらに
「自分は人間関係がうまくできない」「自分は仕事ができない。」「自分は他者から愛されない。」という学習を強化して、次第に95%が96・・・97・・・と
最終的にはそれがすべてになってしまう。
そして、周囲からは
「努力が足りない」とか「危機感がない」と怒られ
味方が次第に減っていき
職場に行きにくくなる。
2~3年のスパンで職場を変え
自分でもどうしていいかわからない。
心療内科、精神科にいって
適応障害・・・精神障害・・・と診断され
「自分は障害者なんだ」と
また、新たな学習をする。
かつての私です。
要するに頑張って
人生を変えたいと思っても
ここに気付けない限り、生きれば生きるほど、悪くなってしまうということです。
ただ、言い方を変えれば
自分は悪くないと言えます。
だって、自分の脳が勝手に自分にそう見せているのが
現実なのですから。
うまくいかないのも仕方がない。
自分は一生懸命努力してきたのも本当。
一生懸命やったけど(5%の意識)
95%の潜在意識が、知らないうちに、多数決で力業でねじまげていただけ。
素人が横綱と相撲をとるようなことを毎日していた。
うまくいかない理由はここだったのか!?
ここに気付けただけで勇気が湧いてきませんか。
だったら、このことに気付いて
潜在意識を書き換えて
人生を変えようよ!となるじゃないですか?
潜在意識を書き換えるとは?
じゃあ、どうやったら、潜在意識を書き換えることができるのか?です。
その前に、潜在意識の書き換えとは、
脳がまちがってした学習を、再教育することです。(これが認知の歪みの矯正です)
これを「癒す」と表現する人もいます。
癒しとは、
「がんばったね」「わかってるよ」と自分に共感する・・・ことではありません。
正確には、
それ共感もしますが、ただ共感するだけではありません。
現実は変わらないということです。
だって、私で言ったら、44年間ずっと、その学習をして生きてきたのに
急に今日から、それは間違っているからしなくていいから!って言われたら
「え?本当?」
「それって、本当に大丈夫?」って思いますよね?
ここで大前提を確認します。
今は44歳の男性で生きているとしても、
私が2歳のときに学習したこと
5歳のときに学習したことは
ずっと脳が覚えています。
そして、脳は学習に忠実に動いています。
それは44歳になっても、
書き換えない限り今後もです。
だから、不要な学習は
適宜、書き換えていかなければなりません。
書き換えていかないから
生きにくくなってしまうんです。
これは今の時代にポケベルとか
伝書バトを使って手紙のやりとりをしようとするようなものです。
生きにくいですよね?
自分の脳もアップデートしないと
生きにくくなるよってことです。(これが潜在意識を書き換えるということ)
でも、怖いんです。
新しいことが普及するとき
いろんな噂が広がりますよね。
スマホが広がったときも
個人情報が盗まれるとか
勝手に決済されて、資産がなくなるとか・・・
確かに初期はそんなこともあったかもしれませんが
今は、アマゾンや楽天で、ネットで買い物するなんて、
ふつうじゃないですか。
でも、「怖い」んです。
だって、今までそうしてきたから。
安全なことを一緒に確認するんです。
脳が「うん、大丈夫だね。」と言うまで
何度も一緒に確認するんです。
そして、脳が「もう一人でいけそうだよ」と言うまで待つんです。
※支援でいうと、これが寄り添うことです。
癒しとは、“学習された感情”に寄り添い、現実の中で“安全”を再確認すること。
潜在意識を書き換える方法、手放し方
では、どうやって、潜在意識を書き換えるかを具体的に説明します。
ここでは便宜上、今の自分をAさん、幼い自分をAくんとします。
①AさんがAくんと手をつなぐ(イメージ的なものです)
②Aくんが当時抱えていた感情を受け止める(これを感情解放、インナーチャイルドという人もいます)
「そうだよね、辛かったよね。」
「よく頑張ったね。」
③AさんがAくんに勉強を教える。(新しい学習)
「自分の意見は言ってもいい。」
「自分の意見を言っても傷つかないこと。」 ※ここは正確には傷つくことはあるけど、自分の意見を言って、それを受け取るのは相手。相手はコントロールできないから、それを気にしてもどうにもならない部分。そのリスクはとることを前提にする。
④Aくんは頭では理解できるけど、怖いから実際にできない(これもイメージです。)
「え?でも、言ったら嫌われるかもしれないし、怖いよ。」
⑤AさんがAくんに寄り添って一緒に経験してみる
「僕がついているから大丈夫だよ。」
実際に自分の意見を他人に言う行動をとります。
⑥実際に大丈夫な現実を経験する。
「ね、大丈夫だったでしょ?」
「うん。」
⑦これをAくんがもう1人で大丈夫と感じるまでやる。
大丈夫という感覚が腑に落ちれば、そもそも不安に感じなくなります。
これが手放すです。 ※だから、わざわざ手放したというよりは、結果的に、手放すことができてたという感覚です。
(これもイメージです。私の中では、大人が怖がる子供と一緒にジェットコースターに乗ってみたら、意外と楽しいね!と子供がジェットコースターを好きになるみたいな感覚です。)
まちがった学習(幼いころの自分にとっては必要だったけど、今はそれがあることで邪魔になっていること)をアンインストールして、新しい学習をするんです。
おわりに
ここまで読まれて、親に憎悪を感じられた方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、親のかかわり方、教育が良かったら
もっと良い人生、苦労しない、幸せな人生を送ってこられたかもしれません。
でも、他人はコントロールできません。
親が自分にどのように教育するかなどは、コントロールできないことです。
であれば、
親に対して憎しみをもつより
自分ができること、自分がコントロールできることに徹して
つまり、今、これからをどう生きていくのかに集中していくほうが
よほど、自分の人生を変えられるのではないでしょうか。
ここまで辛く厳しい人生だったとしても、
なんとか人生を変えたいと思って
もがき続けてこれた、あなたなら、きっと大丈夫です。